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クリニックの内装は何を気をつけたらいい?法令もしっかり解説
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クリニックの内装を決める際は、基本的に患者のための空間をつくるのがポイントです。さらに、クリニックの建築に関する法令もいくつかあるため、基準を満たすように内装を考える必要があります。
そこで今回は、クリニックの内装を決めるときのポイントや、基準となる法令などをご紹介します。利用しやすい導線や、再来院につなげるための内装デザインのコツなどもまとめているので、参考にしてください。
クリニックは患者のための空間
クリニックの内装を決める際は「患者のための空間」を意識することがポイントです。受付、待合室、診察室、トイレにいたるまで、患者がクリニックで過ごす時間を快適だと思えるように配慮します。
たとえば待合室では、ほかの患者と視線が合わないようにレイアウトを工夫するとよいでしょう。また、待合室が狭いと圧迫感を与えてしまうことに加え、患者同士の距離も近くなってしまうため、広さを確保することも大切です。
患者がリラックスして過ごせるように、内装の色使いも工夫します。白と木目を組み合わせた温かみのある色使いや、グリーンやブラウンを取り入れたナチュラルな雰囲気など、清潔感があって落ち着いた色彩を選ぶとよいでしょう。
クリニックは法令で建築基準がある
さまざまな人が利用するクリニックは、いくつかの法令によって建築基準が決められています。そのため、クリニックの内装を決める際は各種法令などの内容を把握しておく必要があります。クリニックの建築基準を見ていきましょう。
病床数によって特殊建築物かどうか区分
特殊建築物とは、一般的な建物よりも厳しい制限が設けられている建築物のことです。防火や衛生、避難設備などの規制が厳しくなります。
建築基準法においては、入院用の病床数が20以上あると病院と規定されており、19床以下であれば診療所に分類されます。特殊建築物かどうかの区分は、クリニックが有床か無床かで変わってきます。
1床でもベッドがある場合は特殊建築物となり、規制が厳しくなるため注意が必要です。反対に病床のないクリニックであれば一般建築物となり、建築の自由度が高まります。
診察室の広さなども決まっている
診察室についても規定があります。1室で多くの診療科を担当するのは好ましくないとされており、医師1人につき1室が望ましいとされています。また、診察室と処置室を兼ねる場合は、カーテンなどで区画することが求められます。
別の部屋やほかの診察室と、明確に分けられていることもポイントです。ほかの部屋に移動する際に、診察室を通るようなレイアウトは避ける必要があります。
医療法
患者の利益を守り、質のよい医療の提供体制をとることで、国民の健康保持に貢献することを目的に定められたのが、医療法です。病院やクリニックなどの開設・管理方法に関する規定も取り決められています。
建築基準法では、建物の安全性を考慮して基準を決めているのに対し、医療法では医療行為をもとに基準を設けているのが特徴です。
医療法の建築基準では、たとえば診察室は9.9平方メートル以上、待合室は3.3平方メートル以上の広さが望ましいとされています。また、廊下と診察室の区画を明確にすることも必要です。
戸建住宅とクリニックを兼ねる場合は、クリニックと居宅の出入口が別々であることや、廊下などを共用せずに区画が分けられていることなども求められます。
バリアフリー法
バリアフリー法では、高齢者や障がい者などの建物や交通機関における移動をスムーズにさせるために、バリアフリー化を義務付けています。バリアフリー法では、クリニックは特別特定建築物に指定されており、さまざまな基準が設けられています。
たとえば、建物の出入口へと続く通路は、車椅子でも利用できるように幅を広く、すべりにくい表面にすることが求められます。建物内の廊下も、車椅子で通りやすい幅にすることや、滑りにくい仕上げにする配慮が必要です。
トイレも車椅子で入りやすいように、広さを確保した個室を1つ以上設けることが求められます。腰を掛けやすくするために、手すりの設置なども望ましいとされています。
定期報告制度
病院などの不特定多数の人が利用する特定建築物は、建物の老朽化や設備不良などによって大きな事故が起こる可能性があります。
建物を利用する人々の安全性を確保するために、一級建築士などの専門家による建物の構造や設備の定期調査や検査を行い、特定行政庁に報告すると決められています。
定期報告制度は、建築基準法で定められたものです。建物の用途や規模によって、毎年もしくは3年ごとに調査・報告が必要です。
定期報告制度の対象となるのは、病院や有床の診療所であるため、無床のクリニックには定期報告の義務は課されません。ただし無床のクリニックは、施設の基準をクリアしているかを自己点検して、報告する義務があります。
地方公共団体条例
ここまでご紹介してきた建築基準法やバリアフリー法、医療法などによる取り決めは、どこの地域にも共通したものです。ただし地方公共団体が制定しているまちづくり条例は、自治体ごとに内容が異なります。
地域の特性に合った魅力的な街づくりの推進や、個性的で快適な環境の形成を目的として、条例が定められています。まちづくり条例は、ほかの法令と矛盾が生じているケースもあるため、よく確認するようにしましょう。
目指すべき内装デザインは?
おしゃれな内装で、患者が快適に過ごせることに加えて、実用性を高めることも大切です。内装デザインで押さえておく項目を3つご紹介します。
クリニックの店舗デザインについて、こちらの記事も参考にしてください。
電気・空調・水道設備はしっかりと
診療科目にもよりますが、クリニックではさまざまな検査機器を使用するため、多くの電気を必要とします。とくにCTやMRIは、大容量の電気が必要です。
また、医療機器や電子カルテは年々進化しているため、内装をデザインする際には、機器のメンテナンスや買い替えまで考慮して設計しておくとよいでしょう。
患者やスタッフが快適に過ごせるようにするため、空調設備も整える必要があります。身体への負担が少ない冷暖房設備や、感染症予防のための湿度管理は必要不可欠といえます。
クリニックで使用する空調設備は、衛生的かつ耐久性があるもので、管理における作業負担がかからないものを選びましょう。クリニックの建物自体よりも、空調機器の耐用年数の方が短く、機器の入れ替えをすることが想定されます。
機器を入れ替えやすいことや、患者やスタッフの増加に備えて空調機器を増設できるかなどの考慮も必要です。
トイレや手洗い場など、給排水設備もしっかりと備える必要があります。また、処置室にも給水設備があることが望ましいとされています。
患者とスタッフともに利用しやすい導線
クリニックにおける導線では、患者導線とスタッフ導線を考慮します。患者が来院して診察を待ち、診察や会計を終えて退出するまでの経路が患者導線です。いっぽうでスタッフ導線は、医師や看護師、事務員などのスタッフが、業務において移動するときに通る経路を指します。
患者とスタッフが利用しやすい導線にするためには、それぞれの導線を分けることが大切です。利便性や使い勝手を踏まえて、導線を確保しましょう。
患者導線を考えるうえでは、待合室と診察室、処置室、検査室などを行き来しやすいこと、患者のプライバシーが守られることなどを考慮するのがポイントです。
スタッフ導線を考えるときは、無駄な移動をしなくてもよくなるように配慮します。スタッフ導線では、患者との接触をできる限りなくし、優先すべき業務を効率的に進められるようにします。
再来院の意欲を高める空間づくり
患者が、また来たいと思えるような空間づくりを意識することも大切です。清潔感があって明るく、なおかつ落ち着いて過ごせる空間を意識してつくるとよいでしょう。
空間をつくるにあたって、色使いもポイントです。白は清潔感がありますが、適度に色を取り入れることで、落ち着きのある雰囲気を演出できます。
赤やオレンジなどの暖色系は温かみのある印象になり、青などの寒色系は緊張感をほぐしてくれる効果が期待できます。ベージュやカーキなどのアースカラーを取り入れると、ナチュラルな装いになります。
クリニックで、患者が長く過ごすことになりやすいのが待合室です。広い空間や高めの天井、ほかの患者と視線が合いにくいレイアウトなどを採用して、待合室の居心地をよくすることで、患者がストレスを感じにくくなるでしょう。
防音設備などのプライバシー管理にも配慮し、患者が安心して過ごせる空間をつくることも必要です。トイレの荷物置き場やオムツ交換台の設置など、快適なトイレをつくることで、患者の満足感アップが期待できます。
医療系専門のデザイン業者に相談がおすすめ
クリニックの内装においては、建築基準法などの法令による条件を満たすことや、クリニックならではの設備を整える必要があります。患者やスタッフが快適に過ごせるように、導線に配慮することも大切です。
クリニックの内装は、医療系専門のデザイン業者への相談がおすすめです。テナント工房メディカルは、クリニックで働くスタッフや患者、関わるすべての方のことを考えた、笑顔あふれる空間づくりを目指しています。
土地探しや物件探しから、デザイン設計、施工、アフターフォロー、集客サポートまで、クリニックに特化してトータルでサポートしているのが特徴です。歯科や美容皮膚科、産婦人科、鍼灸院など、さまざまな診療科目のクリニックにおける実績があります。
クリニックの内装に悩んでいる場合は、医療系専門のデザイン業者に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
クリニックの内装は、患者のための空間を意識してつくることが求められます。清潔感があって落ち着ける色使いの内装や、プライバシー管理に配慮した設計など、患者がリラックスして過ごせるような空間にすることが大切です。
患者や働くスタッフがストレスなく移動できるように、導線にも配慮します。患者とスタッフの導線が重ならないようにして、効率的で利用しやすい導線を確保しましょう。
クリニックの内装においては、デザイン性だけでなく、建築基準法などの各種法令にもとづく条件を満たす必要があります。クリニックならではの設備を整える必要もあるため、クリニックの内装は、医療系専門のデザイン業者への相談がおすすめです。