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皮膚科の開業を成功させるには?資金や開業手順まで解説!

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自身の理想とする医療を追求し、地域医療に貢献するために、皮膚科クリニックの開業を目指す先生方が増えています。しかし、その道のりは決して平坦ではなく、何から手をつければ良いのか、どれくらいの資金が必要なのか、多くの不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。

この記事では、皮膚科開業の準備段階から成功のポイントまで、全体像を網羅的に解説します。この記事を読めば、開業への漠然とした不安が解消され、具体的な行動計画を描けるようになるでしょう。

 

 

皮膚科の開業に必要な資金とは?

クリニックの開業には多額の資金が必要となります。特に皮膚科の場合、導入する医療機器によって初期投資額が大きく変動します。

ここでは、開業資金の目安と資金調達の方法について詳しく解説します。

 

開業資金の総額と内訳の目安

皮膚科クリニックの開業に必要な資金は、テナント開業の場合で総額4,000万円から7,000万円程度が目安とされています。もし美容皮膚科の施術も行う場合は、レーザーなどの高額な医療機器が必要となるため、さらに1,000万円以上の追加資金が必要になることもあります。

費用の種類

内容

金額の目安

不動産関連費

物件の敷金・礼金
仲介手数料など

300万円~

設計・施工費

内装工事
デザイン費用

1,500万円~

医療機器費

診察台
顕微鏡
レーザー治療器など

1,000万円~3,000万円

その他設備費

電子カルテ
予約システム
家具
家電など

500万円~

運転資金

人件費
家賃
広告宣伝費
医薬品費(開業後3〜6ヶ月分)

1,000万円~1,500万円

 

自己資金はどれくらい準備すべき?

金融機関から融資を受ける際、自己資金の額は審査における重要な評価ポイントになります。一般的な観点から、開業資金総額の2割から3割程度の自己資金を準備しておくのをおすすめします。

参考として、日本政策金融公庫 総合研究所の「2024年度新規開業実態調査」によると、2024年に開業した人の資金調達額に占める割合としては「自己資金」が24.5%、「金融機関等からの借り入れ」が65.2%となっています。

【参考】:2024年度新規開業実態調査.pdf

 

資金調達の方法と金融機関の選び方

自己資金だけでは開業資金の全額を賄うことは難しいため、大部分を融資によって調達することになります。主な借入先としては、日本政策金融公庫、民間の銀行や信用金庫、リース会社などが挙げられます。

特に、日本政策金融公庫は、国の機関であるため信用力が高く、新規開業資金などの制度があるため、最初に検討すべき選択肢の一つです。また、付き合いのある銀行や、医師向けの融資プランを提供している金融機関に相談することも有効です。

複数の金融機関を比較検討し、最も有利な条件で融資を受けられるよう、事業計画書をしっかりと準備して臨みましょう。

【参考】:日本政策金融公庫

 

皮膚科開業の平均年収と収支モデル

開業を目指す上で、開業後の収入や経営の見通しは最も関心の高い事項の一つです。ここでは、皮膚科開業医の平均的な年収と、クリニックの収支構造について解説します。

 

皮膚科開業医の平均的な年収

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、精神科医の平均年収は約1,078万円となっています。これは平均値であり、開業医の場合は自由診療を取り入れるなどの経営努力次第では、さらに年収を上げられる可能性を持っています。

【参考】:0102.pdf

 

クリニックの収支構造

クリニックの経営を安定させるためには、収入と支出のバランスを常に意識することが重要です。収入の大部分は、患者の診察によって得られる診療報酬です。

一方、支出には人件費、家賃、医薬品・医療材料費、水道光熱費、広告宣伝費など様々な項目があります。特に、人件費と家賃は固定費として毎月発生するため、適切な人員配置と物件選定が経営の安定に直結します。

収入項目

内容

診療報酬

保険診療、自由診療による収入

 

支出項目

内容

割合の目安(医業収益に対して)

人件費

スタッフ給与
賞与
福利厚生費

10%~15%

家賃

テナント賃料

6%~8%

医薬品費

治療に必要な薬剤費

10%~15%

その他経費

広告宣伝費
水道光熱費
リース料など

15%~20%


【参考】:第24回医療経済実態調査 結果報告に関する分析(健康保険組合連合会).pdf

 

保険診療と自由診療の収益性の違い

皮膚科の診療は、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの治療を行う「保険診療」と、シミ取りや脱毛など美容目的の施術を行う「自由診療」に大別されます。保険診療は診療報酬点数に基づいて価格が国によって定められており、安定した収益基盤となります。

一方、自由診療はクリニックが独自に価格を設定できるため、高い収益性が見込めます。多くのクリニックでは、保険診療を主体としながら、自由診療を組み合わせています。

【関連記事】人気美容クリニックにするための内装づくりとは?内装工事費用の目安など|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル

 

皮膚科の開業を成功させるための準備手順

皮膚科の開業は、入念な準備と計画的なスケジュール管理が成功の鍵を握ります。ここでは、構想段階から開院までの具体的な手順を7つに分けて解説します。

 

手順1:コンセプトと事業計画の策定

最初に、どのようなクリニックにしたいのか、という基本構想(コンセプト)を明確にします。例えば、「地域のかかりつけ医として、子供から高齢者まで安心して通えるクリニック」や、「最新の美容医療を提供する、女性のためのクリニック」など、ターゲットとする患者層や提供したい医療サービスを具体的に描きます。

このコンセプトを基に、収支計画、資金計画、返済計画などを盛り込んだ詳細な事業計画書を作成します。これは金融機関からの融資を受ける際に必須となる重要な書類です。

 

手順2:開業エリアと物件の選定

事業計画が固まったら、次に行うのが開業地の選定です。競合クリニックの状況、人口動態、地域の特性、交通の便などを総合的に調査し、最適なエリアを絞り込みます。

皮膚科は幅広い年齢層がターゲットとなるため、人通りが多く視認性の高い場所が有利です。また、エレベーターの有無やバリアフリー対応など、患者の通いやすさも考慮して物件を選定しましょう。

 

手順3:内装設計と医療機器の導入

物件が決まったら、内装の設計に取り掛かります。患者がリラックスできるような空間デザインはもちろんのこと、スタッフが効率的に動けるような動線設計も重要です。

特に皮膚科は、プライバシーに配慮した診察室や、感染症対策を施した処置室の設計が求められます。並行して、コンセプトに合った医療機器の選定と導入を進めます。

高額な機器も多いため、リースを利用するなどして初期投資を抑える工夫も検討しましょう。

【関連記事】クリニックの内装は何を気をつけたらいい?法令もしっかり解説|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル

 

手順4:資金調達の実行

事業計画書と見積もりを基に、金融機関に融資を申し込みます。複数の金融機関と交渉し、融資額や金利、返済期間などの条件を比較検討します。

審査には時間がかかる場合があるため、物件契約や内装工事のスケジュールと連携しながら、早めに手続きを進めることが肝心です。

 

手順5:スタッフの採用と教育

看護師や医療事務など、クリニックの運営に不可欠なスタッフの採用活動を開始します。クリニックの顔となるスタッフの質は、患者満足度に直結します。

理念に共感し、質の高いサービスを提供できる人材を確保することが重要です。採用後は、電子カルテの操作方法や接遇マナーなど、開院に向けた研修を計画的に実施します。

 

手順6:各種行政手続きと届出

クリニックを開設するためには、様々な行政手続きが必要です。保健所に診療所開設届を提出し、厚生局に保険医療機関指定申請を行います。

この他にも、法人設立の場合は法務局への登記申請、スタッフを雇用した場合は労働基準監督署やハローワークへの届出など、多岐にわたる手続きを漏れなく行う必要があります。行政書士などの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

 

手順7:集患とマーケティングの開始

開院前から、地域住民にクリニックの存在を知ってもらうためのマーケティング活動を開始します。公式ウェブサイトの開設、ウェブ広告の出稿、地域情報誌への掲載、近隣へのポスティング、内覧会の開催などが有効な手段です。

開院当初からスムーズに患者を迎え入れられるよう、戦略的な広報活動を展開しましょう。

 

皮膚科開業で失敗しないための重要ポイント

競合クリニックが多い中で、開業を成功させ、地域に根差したクリニックとして成長していくためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

 

診療コンセプトで他院と差別化を図る

成功のためには、自院の強みや特色を明確にし、他のクリニックとの差別化を図ることが不可欠です。例えば、「アレルギー疾患に特化する」「小児皮膚科を標榜する」「美容皮膚科のメニューを充実させる」など、専門性を打ち出すことで、特定のニーズを持つ患者層を引きつけることができます。

地域の医療ニーズを分析し、自院がどのような価値を提供できるかを深く考えましょう。

 

女性や子供連れに配慮したクリニック設計

皮膚科の患者は、女性や子供の割合が高い傾向にあります。そのため、パウダールームを設置したり、キッズスペースを設けたりするなど、女性や子供連れの患者が快適に過ごせるような院内環境を整えることが、患者満足度の向上に繋がります。

清潔感のある内装や、プライバシーに配慮した設計も、患者からの信頼を得る上で重要な要素です。

【関連記事】クリニックのキッズスペースの内装デザインポイント5選!|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル

 

待ち時間を短縮し患者満足度を向上させる

長い待ち時間は、患者の不満の大きな原因となります。ウェブ予約システムや自動精算機を導入することで、受付から会計までのプロセスを効率化し、患者の待ち時間を短縮する工夫が求められます。

スムーズな診療体験は、患者のリピート率を高め、良好な口コミにも繋がります。

 

ウェブサイトやSNSを活用した集患戦略

現代のクリニック経営において、ウェブマーケティングは欠かせない要素です。スマートフォンで情報を得ることが当たり前になっているため、見やすく、分かりやすい公式ウェブサイトは必須です。

また、疾患に関する情報発信や、クリニックの日常を伝えるためにSNSを活用することも、患者との信頼関係構築に有効です。医療広告ガイドラインを遵守しながら、適切な情報発信を心掛けましょう。

 

保険診療と美容皮膚科(自由診療)の違い

皮膚科を開業する際には、保険診療をメインにするのか、美容皮膚科などの自由診療も取り入れるのか、そのバランスを考えることが重要です。それぞれの特徴を理解し、自身の目指す医療の形に合った戦略を立てましょう。

 

保険診療メインのクリニックの特徴

保険診療を主体とするクリニックは、アトピー性皮膚炎、にきび、湿疹、水虫といった、多くの人が悩む一般的な皮膚疾患の治療が中心となります。国が定めた診療報酬に基づいているため、収益の見通しが立てやすいというメリットがあります。

地域のかかりつけ医として、安定した経営基盤を築きやすいモデルと言えます。

 

自由診療を導入するメリットと注意点

自由診療には、シミやしわの治療、医療脱毛、アンチエイジングなど、美容を目的とした施術が含まれます。価格を自由に設定できるため、保険診療に比べて高い収益性が見込めるのが最大のメリットです。

一方で、高額な医療機器への初期投資が必要になることや、集患のために積極的なマーケティング活動が求められるという側面もあります。また、施術後のトラブル対応なども想定しておく必要があります。

 

混合診療で注意すべき法的要件

原則として、同一の疾患に対する一連の治療において、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」は認められていません。例えば、保険適用の治療を行いながら、同日に保険適用外の薬剤を処方する、といったことはできません。

ただし、厚生労働省が定める「評価療養」や「選定療養」に該当する場合は、例外的に併用が可能です。法令を正しく理解し、ルールを遵守した上で診療メニューを構築することが極めて重要です。

【参考】:いわゆる「混合診療」問題について

 

まとめ

皮膚科の開業は、入念な事業計画と戦略的な準備が成功の鍵を握ります。必要な資金額を把握し、適切な資金調達を行い、開業までの手順を一つひとつ着実に進めていくことが大切です。

本記事で解説したポイントを参考に、先生の理想とするクリニックの実現に向けて、具体的な一歩を踏み出してください。

 

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