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神経内科の開業を成功させるには?資金から集患までの完全ロードマップ|テナント工房メディカル
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神経内科の専門医としてキャリアを積んでこられた先生方の中には、ご自身の理想とする医療を追求するため、独立開業を視野に入れている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、開業には経営に関する多岐にわたる知識が必要となり、何から手をつければよいのか分からず、不安を感じることも少なくありません。
本記事では、そのような先生方のために、神経内科の開業を取り巻く現状から、具体的な準備手順、資金計画、そして成功のポイントまでを体系的に解説します。
目次
神経内科の開業を取り巻く現状と将来性
神経内科の開業を検討するにあたり、まずは市場の現状と将来性を理解することが重要です。社会の変化に伴い、神経内科クリニックが果たすべき役割はますます大きくなっています。
高齢化社会で高まる神経内科のニーズ

日本は超高齢社会に突入しており、認知症、パーキンソン病、脳血管障害といった加齢に伴い増加する神経疾患の患者数は年々増加傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、日本の65歳以上の高齢者人口は増加を続けており、神経内科が対象とする疾患の有病率も上昇すると予測されています。
地域に根差した神経内科専門クリニックへの需要は、今後さらに高まっていくと考えられます。
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年齢層 |
主な神経内科関連疾患 |
|---|---|
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高齢者 |
認知症 |
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中年層 |
慢性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛) |
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若年層 |
てんかん |
参考:認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計
専門性を活かしクリニック経営を差別化
神経内科のクリニックは、他の内科系診療科に比べて数が少ないのが現状です。競合が少ないというメリットがある一方で、患者さんへの認知度が低いという課題も意味します。
頭痛外来、もの忘れ外来、めまい外来など、専門性を前面に打ち出したクリニック作りをすることで、他院との差別化を図り、遠方からの患者さんの来院も期待できます。専門性の高い医療を提供できる点は、神経内科開業の大きな強みとなります。
神経内科の開業医の年収はどのくらいか
開業を考える上で、年収は重要な関心事の一つです。勤務医時代との比較や、収益性を高めるためのポイントについて解説します。
勤務医との年収比較
開業医の年収は勤務医の1.5倍から2倍程度とも言われています。勤務医の平均年収が1,500万円前後であるのに対し、開業医では2,500万円から3,000万円程度が目安とされています。
もちろん、これはあくまで平均的な数値であり、経営状況によって大きく変動します。開業当初は多額の初期投資の返済があるため、必ずしも収入がすぐに増加するわけではない点を理解しておく必要があります。
収益性を左右するのは診療内容と経営戦略
クリニックの収益性を高めるためには、戦略的な診療内容の設計が不可欠です。保険診療を基本としつつ、専門性を活かした自由診療を組み合わせることも有効です。また、リハビリテーション施設を併設し、「脳血管疾患等リハビリテーション料」を算定することで、安定した収益源を確保できます。
地域のニーズを的確に捉え、どのような医療サービスを提供するかが、年収を大きく左右する要因となります。
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収益向上に繋がる取り組み |
具体例 |
|---|---|
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専門外来の設置 |
頭痛外来、もの忘れ外来、しびれ外来など |
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リハビリテーションの提供 |
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による専門的リハビリ |
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医療機器の活用 |
神経伝導検査や脳波検査などによる専門的診断 |
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地域連携 |
近隣の病院や介護施設からの患者紹介 |
神経内科の開業に必要な資金額の目安
神経内科の開業には、他の診療科と比較して高額な初期投資が必要となる場合があります。ここでは、開業資金の具体的な内訳について見ていきます。
【関連記事】クリニック開業の資金はいくら必要?調達方法と自己資金の目安を解説|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル
開業資金の内訳(物件取得費・内装工事費)

開業資金の中で大きな割合を占めるのが、物件関連の費用です。テナントを賃借する場合でも、保証金や礼金、仲介手数料などで数百万円が必要となります。
神経内科では、リハビリスペースを確保するために50坪から60坪程度の広さが求められることもあり、物件取得費は高額になりがちです。
内装工事費も、バリアフリー設計や診察室、処置室などの設置で2,000万円から3,000万円程度を見込む必要があります。
導入を検討すべき医療機器の費用
神経内科の診療に不可欠な医療機器も、大きな投資となります。電子カルテや基本的な診察備品に加え、専門的な検査機器の導入を検討します。
CTやMRIを導入する場合は億単位の資金が必要となりますが、開業当初は必須ではありません。近隣の画像センターや病院と連携し、必要な検査を依頼する形を取ることで、初期投資を大幅に抑えることが可能です。
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医療機器 |
導入費用の目安 |
備考 |
|---|---|---|
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電子カルテ・レセコン |
300~500万円 |
必須の投資 |
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脳波計 |
500~1,000万円 |
てんかん等の診断に有用 |
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神経伝導検査装置 |
300~700万円 |
末梢神経障害の診断に有用 |
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CT・MRI |
8,000万~2億円 |
開業当初は連携施設への依頼も可 |
当面の経営を支える運転資金
開業してすぐに経営が軌道に乗るとは限りません。診療報酬が実際に入金されるまでには2ヶ月以上のタイムラグがあるため、その間のスタッフ給与や家賃、医薬品の購入費などを賄うための運転資金を準備しておく必要があります。
一般的に、3ヶ月から6ヶ月分程度の運転資金として、1,000万円から2,000万円程度を確保しておくと安心です。
神経内科開業における資金調達の方法
高額な開業資金をすべて自己資金で賄うのは困難な場合がほとんどです。ここでは、主な資金調達方法について解説します。
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資金調達方法 |
特徴 |
|---|---|
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自己資金 |
返済不要。多いほど信用力が高まる。 |
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日本政策金融公庫 |
低金利・長期返済が可能で、新規開業者に有利。 |
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民間金融機関 |
取引実績があると相談しやすい。金利や条件は様々。 |
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リース |
初期投資を抑えられる。月々の費用は経費計上可能。 |
自己資金として準備すべき金額
金融機関から融資を受ける際、一定額の自己資金を求められることが一般的です。開業資金総額の1割から2割程度が目安とされています。
自己資金が多いほど、融資の審査が有利に進み、かつ将来の返済負担を軽減することができます。計画的に準備を進めましょう。
日本政策金融公庫の融資制度を活用する
政府系金融機関である日本政策金融公庫は、新規開業を支援するための融資制度を設けており、民間の金融機関に比べて金利が低く、返済期間も長く設定されていることが多いのが特徴です。
特に、医師向けの融資制度は比較的審査が通りやすい傾向にあるため、第一の選択肢として検討すべきです。
参考:日本政策金融公庫
民間金融機関からの融資とリースを活用する
メガバンクや地方銀行、信用金庫なども、クリニック開業向けのローン商品を取り扱っています。付き合いのある金融機関に相談してみるのも良いでしょう。
また、高額な医療機器については、購入ではなくリース契約を利用することで、初期投資を抑えられます。月々のリース料は経費として計上できるため、税務上のメリットもあります。
成功の鍵を握る事業計画のポイント

綿密な事業計画は、開業を成功に導くための羅針盤です。金融機関からの融資を受けるためだけでなく、自身のクリニック経営の軸を定めるためにも不可欠です。
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事業計画の重要項目 |
確認すべきポイント |
|---|---|
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クリニック理念 |
自身の目指す医療の姿は明確か |
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診療圏調査 |
地域の人口、年齢構成、競合の状況は把握しているか |
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収支計画 |
売上予測と支出の内訳は現実的か、資金繰りは成り立つか |
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マーケティング計画 |
どのようにしてクリニックの存在を周知させるか |
【関連記事】成功するクリニック開業!開業までのステップやポイントを解説|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル
ポイント1:クリニックの理念と診療方針を明確にする
まず、「どのような医療を提供したいのか」「地域でどのような役割を果たしたいのか」といったクリニックの理念を明確にします。この理念が、スタッフの行動指針となり、患者さんへのメッセージにもなります。
対象とする疾患や患者層、提供する医療サービスといった具体的な診療方針を定めます。
ポイント2:地域の需要を把握するための診療圏調査を実施する
診療圏調査とは、開業予定地周辺の人口動態や競合クリニックの状況を分析し、どのくらいの患者さんが見込めるかを予測する調査です。
ターゲットとする患者層が多く住んでいるか、近隣に同様の専門性を持つクリニックがないかなどを詳細に分析します。立地選定や集患戦略の重要な基礎となります。
ポイント3:現実的な収支シミュレーションを作成する
診療圏調査の結果を基に、1日あたりの患者数や診療単価を想定し、売上を予測します。同時に、人件費、家賃、医薬品費、リース料、返済額などの支出を算出し、詳細な収支シミュレーションを作成します。
複数のパターン(楽観・標準・悲観)で試算し、どのような状況でも経営が成り立つような計画を立てましょう。
神経内科クリニックの物件選びで注意すべき点
クリニックの成功は、立地と物件に大きく左右されます。神経内科特有の注意点を踏まえて、慎重に選定する必要があります。
ターゲット患者層に適した立地選定
高齢の患者さんが多いことを想定し、公共交通機関でのアクセスが良い、駅から近いといった立地が望ましいです。
家族が車で送迎することも多いため、駐車場の確保も重要なポイントとなります。生活圏内にあり、通院の負担が少ない場所を選ぶことが、継続的な来院に繋がります。
バリアフリーとリハビリスペースの確保

神経内科の患者さんには、歩行に支障がある方や車椅子を利用する方も少なくありません。クリニックの入口から診察室まで段差がない、通路が広い、手すりが設置されているといったバリアフリー設計は必須条件です。
リハビリテーションを行う場合は、基準で定められた45㎡(約14坪)以上のスペースを確保できる広さが必要です。
参考:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続き」
大型医療機器の搬入経路と設置条件
将来的にCTやMRIの導入を視野に入れる場合は、物件選びの段階から考慮しておく必要があります。機器の重量に耐えられる床の強度があるか、大型機器を搬入できるだけの通路や入口の幅が確保できるかなどを確認しておきましょう。
特に1階の物件は、これらの条件を満たしやすいというメリットがあります。
開業当初から集患を成功させるマーケティング戦略
良い医療を提供していても、存在が地域住民に知られなければ患者さんは訪れません。開業前から計画的に集患対策を行うことが成功の鍵となります。
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集患施策 |
目的・効果 |
|---|---|
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ホームページ・Web広告 |
クリニックの認知度向上 |
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近隣機関への挨拶回り |
連携体制の構築 |
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内覧会の実施 |
地域住民への周知 |
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オンライン診療の導入 |
通院困難者のフォロー |
【関連記事】潰れるクリニックの特徴とは?潰れない医院にするにはどうすればよいのか|テナント工房メディカル – クリニックの設計・内装デザインならテナント工房メディカル
クリニックの強みを伝えるホームページ作成
現代において、ホームページはクリニックの顔とも言える重要なツールです。どのような疾患を専門に診ているのか、院長の経歴や人柄、院内の設備などを分かりやすく伝えましょう。
特に神経内科は、どのような症状の時に受診すれば良いのかが一般の方には分かりにくいため、「頭痛」「もの忘れ」「しびれ」といった具体的な症状をキーワードに含め、丁寧な説明を掲載することが集患に繋がります。
近隣の病院や介護施設との連携構築
神経内科の診療は、地域の他の医療機関や介護施設との連携が極めて重要です。開業前には、近隣の内科クリニックや基幹病院の地域連携室、居宅介護支援事業所などに挨拶回りを行い、良好な関係を築いておきましょう。
CTやMRIの検査依頼や、入院が必要な患者さんの紹介、あるいは逆に地域のケアマネージャーから患者さんの紹介を受けるなど、双方向の連携体制を構築することが、安定した経営に繋がります。
オンライン診療導入による患者層拡大
オンライン診療は、通院が困難な患者さんや、遠方に住む患者さんにとっても受診のハードルを下げる有効な手段です。
特に、症状が安定している慢性疾患の患者さんの継続的なフォローに適しています。新たな患者層の獲得や、患者さんの利便性向上に繋がり、他院との差別化要因にもなり得ます。
神経内科開業までの具体的な手順

開業準備は多岐にわたるため、計画的に進める必要があります。ここでは、開業までの標準的なスケジュールとタスクを解説します。
手順1:開業コンセプトの決定と事業計画策定
開業の1年半~2年前には、どのようなクリニックにしたいかという基本構想を固め、事業計画の策定に着手します。この段階で、開業コンサルタントなどの専門家に相談するのも有効です。
手順2:資金調達と物件の選定
開業の1年~1年半前には、事業計画書を基に金融機関へ融資の相談を開始します。並行して、診療圏調査を行い、物件探しを進めます。物件はクリニックの根幹となるため、時間をかけて慎重に選定します。
手順3:内装設計と医療機器の選定
物件の契約後、内装の設計・施工業者を決定し、詳細なレイアウトを詰めていきます。同時に、導入する医療機器の選定と発注も行います。機器の納期は数ヶ月かかる場合もあるため、早めに手配することが肝心です。
手順4:スタッフ採用と各種行政手続き
開業の半年前頃から、看護師や医療事務、リハビリスタッフなどの採用活動を開始します。また、保健所や厚生局などへの開設届や保険医療機関指定申請など、複雑な行政手続きもこの時期に行います。
手順5:内覧会の実施とクリニック開業
開業直前には、地域住民や連携先の医療関係者を対象とした内覧会を実施します。院内の雰囲気や設備を直接見てもらうことで、安心して受診してもらうきっかけになります。全ての準備を整え、いよいよ開業の日を迎えます。
まとめ
神経内科の開業は、高齢化社会における高いニーズを背景に、大きな可能性を秘めています。
しかし、その成功には、専門医としての知識や技術だけでなく、経営者としての視点に基づいた入念な準備が不可欠です。
明確なビジョンを持ち、綿密な事業計画を立て、一つ一つのステップを着実に進めていくことが、地域に信頼され、患者さんに選ばれるクリニックへの道筋となるでしょう。














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