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初めてのクリニック設計!基本ポイントや費用・工事期間についても解説

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初めてのクリニック設計!基本ポイントや費用・工事期間についても解説

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クリニックの設計は、一般家庭や店舗と違い、医療機関としての視点から行うことが大切です。クリニックの設計の良し悪しによって、来院する患者の過ごしやすさや、現場の医療スタッフの働きやすさが変わってきます。

また病院やクリニックならではの建築規制も存在するため、クリニックの設計において基本となるポイントを知っておくとよいでしょう。

本記事では、クリニック設計の基本ポイントや、大まかな工事費用・期間の目安、診療科ごとの注意点についてわかりやすく解説します。

 

≪クリニック設計の基本ポイント≫

クリニックの設計において、基本となるポイントは4つあります。

  • 1.病院の規模や特徴を考慮する
  • 2.患者の快適性とプライバシーを確保する
  • 3.医療スタッフの働きやすさを追求する
  • 4.設備や設備配置を適切に計画する

 

ポイント1.病院の規模や特徴を考慮する

クリニックの設計では、まず医療機関としての規模や特徴を考慮することが大切です。

一般的なクリニックの構造は、来院した患者の受付を行う待合ゾーンと、診療や検査、処置を行うワークゾーンに分かれます。一方のゾーンが狭くなったり、極端に細長くなったりすると、患者や医療スタッフにとって過ごしにくいクリニックになってしまいます。クリニック全体の面積に基づいて、待合ゾーンとワークゾーンの比率を適切に配分しましょう。

また歯科医院や小児科、美容クリニックなど、診療科によってもクリニックの設計が変わってくるため、診療科ごとの違いを把握しておきましょう。

 

ポイント2.患者の快適性とプライバシーを確保する

患者は診察が終わり、会計が完了するまでの間、長い時間をクリニックで過ごします。次回も来院したいと思ってもらうためには、衛生的で清潔感があり、患者が居心地良く過ごせるようなクリニックにする必要があります。

また患者が自分の症状について安心して相談できるように、防音設備の導入や、視線を遮る間仕切りの設置など、プライバシーを確保するための対策を行いましょう。

 

ポイント3.医療スタッフの働きやすさを追求する

クリニックの設計は、現場で働く医療スタッフの働きやすさを追求することも大切です。医療スタッフは、受付→診察→処方→会計という流れに沿って、クリニックのさまざまな場所を行き来します。医療スタッフが効率よく動けるように、クリニックの動線を考慮し、受付カウンターや待合室、診察室、検査室などを機能的に配置しましょう。

 

ポイント4.設備や設備配置を適切に計画する

クリニックで使う医療機器や備品を設計段階で洗い出し、適切に配置しましょう。受付や待合室、診察室、玄関、トイレ、スタッフルーム(バックヤード)など、クリニックの間取りごとに設備のリストを作成しておくと、配置計画を立てやすくなります。

また病院やクリニックの場合、一般的な店舗とは異なる構造設備基準が求められます。設計段階において、構造設備基準を遵守した配置計画になっているかをしっかりとチェックすることも大切です。

 

≪クリニック設計の費用と工事期間≫

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ここでは、クリニック設計の見積もりを依頼するときのポイントや、大まかな工事費用・期間の目安を紹介します。

 

設計費用の見積もりのポイント

近年は建築資材の価格高騰が一因となって、内装工事や設備工事のコストが上昇しています。クリニックの設計・デザインを依頼したところ、思ったよりも高額な見積もりを提示され、驚いた経験のある方もいるでしょう。

見積もりを依頼するときのポイントは、あらかじめ目標となる予算を提示することです。ほとんどの設計事務所では、顧客から予算を提示された場合、予算内に収まるように工夫して、設計やデザインを考えています。どうしてもコストが高くなってしまう場合でも、できるだけ工事にかかる費用を節約し、顧客の負担を軽減できるようなプランを提案します。

見積もりの段階で希望を伝えておくことで、予算オーバーを防止することが可能です。ただし、あまりにも低すぎる予算を提示すると、対応してもらえない場合があるため、大まかな工事費用の相場を知っておくとよいでしょう。

 

工事費用の予算と経費管理

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内装工事にかかる費用は、坪単価(1坪当たりのコスト)という考え方に基づいています。病院やクリニックの場合、坪単価の目安は40万円~50万円です。例えば、クリニックの延床面積が50坪の場合、工事費用の目安は2,000万円~2,500万円です。

ただし、クリニックに導入する設備によって、坪単価が上昇する可能性があります。代表的な例が、消防設備としてスプリンクラーを導入したり、入口を自動ドアにしたりするケースです。

また診療科によっても坪単価が変動するため、実際の工事費用を知りたい場合は、施工業者に問い合わせる必要があります。

 

工事期間のスケジュール管理

またクリニックの内装工事には、半年~1年ほどの期間がかかります。開業日までに間に合うように、しっかりと工事期間のスケジュール管理を行いましょう。一般的にクリニックの物件が戸建ての場合、賃貸物件よりも工事期間が長くなるため、余裕を持って工事を依頼する必要があります。

 

クリニック設計時の注意点

クリニックの設計やデザインを行うときに注意したいのが、以下の3つのポイントです。

  • ●建築法規制や衛生基準を遵守する
  • ●病院の将来的な拡張や改修の可能性を考慮する
  • ●緊急事態や災害に備えた設計をする

 

建築法規制や衛生基準を遵守する

病院やクリニックには、一般的な店舗と異なる建築基準や衛生基準が適用されます。特に建築基準は、有床診療所(入院用の病床が1つ以上ある診療所)か無床診療所(入院を行わず、専ら外来診療を行う診療所)によって変わってくるため、該当するものを確認しましょう。

例えば、無床診療所の場合、建物の構造に以下のような基準が設けられています(※)。

  • ●診療所は、他の施設と機能的かつ物理的に明確に区画されていること
  • ●医療機関の各施設は、原則として構造上の一体性を保つこと
  • ●内部構造は原則として必要な各室が独立していること

 

また建物の衛生基準についても、医療法や労働安全衛生法などの法律や、自治体ごとのルールを守りましょう。衛生基準に違反した場合、医療法に基づいてクリニックに立入検査が行われる可能性もあります。

参照リンク:※東京都 保健医療局「診療所(歯科診療所)新規開設の手引き(構造設備)」p1

 

病院の将来的な拡張や改修の可能性を考慮する

またクリニックの間取りを考えるときは、将来的な拡張や改修の可能性を想定し、ある程度ゆとりを持たせておくことをおすすめします。今後、クリニックの診療機能変更(病床を増やすなど)が必要になった場合に、大規模な工事を行うことなく、柔軟に対応可能です。

 

緊急事態や災害に備えた設計をする

クリニックの設計段階において、大地震などの自然災害や、火災・事故などの緊急事態が生じた場合に備えておくことも大切です。特に医療機関は、平常時だけでなく、災害時にも医療サービスを継続することが求められます。BCP(事業継続計画)を策定し、緊急事態や災害を想定した設計を行いましょう。

 

クリニック設計を成功させるためのコツ

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患者様にとって過ごしやすく、安心して来院できるクリニックを作るには、信頼できる設計事務所を選ぶ必要があります。また設計やデザインを担当者に一任せず、設計段階から建築士や設計士などの関係者と密にコミュニケーションを取るようにしましょう。

ここでは、クリニック設計を成功させるためのコツを3つ紹介します。

  • ●クリニックの実績が豊富な設計事務所を選定する
  • ●設計段階から建築士や設計士とコミュニケーションを取る
  • ●ニーズに合わせて柔軟に設計変更できるようにする

 

コツその1.クリニックの実績が豊富な設計事務所を選定する

1つ目のコツは、クリニックの実績が豊富な設計事務所を選定することです。

前述のとおり、病院やクリニックなどの医療機関には、一般的な店舗とは異なる構造設備基準が適用されます。また設計デザインにおいても、来院した患者が快適にサービスを受けられるクリニックにするためには、医療現場に関する知識やノウハウが必要です。

設計事務所のホームページなどを確認し、病院やクリニックの設計を強みとしているか、豊富な設計実績があるかといった点を確認しましょう。

 

コツその2.設計段階から建築士や設計士とコミュニケーションを取る

2つ目のコツは、クリニックの設計を任せっぱなしにせず、建築士や設計士とできるだけコミュニケーションを取ることです。

クリニックの理念や、医療サービスに対する思い、設計デザインを通じて要望・実現したいことなどを、しっかりと関係者に伝えましょう。理想のクリニックを作るには、細やかなコミュニケーションが必要不可欠です。

内装工事が始まった後も、週に1回を目安として現場に足を運び、要望通りに工事が進んでいるかをこまめに確認しましょう。

 

コツその3.設計変更が必要な場合は柔軟に対応する

3つ目のコツは、設計変更が必要な場合は柔軟に対応することです。

設計段階や内装工事の途中で、急な設計変更を求められる可能性もあります。例えば、工事費用の予算がオーバーしそうなケースや、設備の変更・新設が必要になったケースです。

クリニックの内装デザインは、実際に工事を始めてみないとわからないこともあります。万が一、設計変更や追加の工事が必要になった場合は、柔軟に対応しましょう。

 

【診療科別】設計のポイント

クリニックの診療科によって、設計やデザインの方向性が変わってきます。ここでは、クリニック設計のポイントを診療科別に紹介します。

 

歯科医院

歯科医院の場合、複数の患者が診察室に入り、同時並行で治療を受けることが一般的です。そのため、歯科医院の設計では、他の診療科よりも診察室の間取りを広くする必要があります。また患者の快適性やプライバシーについても配慮し、歯科ユニットの間に十分な距離が空くようにしましょう。

 

小児科

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小児科のターゲットとなるのは、幼児や小学生、赤ちゃんなどの子どもの患者です。内装を考える際は、小さな子どもが不安や刺激を感じないよう、色使いやデザインを工夫する必要があります。待ち時間も子どもにとってストレスの原因となるため、キッズスペース(キッズルーム)の設置も検討しましょう。

また子どもの安全対策も欠かせません。壁や床にはやわらかい素材を採用し、子どもが走って転倒しても、怪我をしないように配慮しましょう。

 

美容クリニック

美容クリニックでは、患者がデリケートな悩みを抱えているケースが多く、通院していることを他の人に知られたくないという方もいます。そのため、他の診療科よりも、患者のプライバシーに配慮した設計にする必要があります。診察室はできるだけ個室とし、患者同士がなるべく接触しないような間取りにしましょう。

 

整形外科

整形外科は、検査やリハビリなど、患者の移動が多い診療科です。無駄な移動時間が発生しないように、来院した患者の目線に立って、クリニックの動線を最適化しましょう。

 

整骨院・整体院

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整骨院・整体院では、患者が気持ちよく施術を受けられるように、癒しを感じられる配色や、温かみのある照明を採用するケースが一般的です。特に整体院の場合、リラクゼーションを目的として来院する患者が多いため、落ち着いて過ごせる内装デザインにするとよいでしょう。

 

鍼灸院

鍼灸院の場合も、来院した患者が安心して過ごせるような内装デザインが求められます。鍼灸院のコンセプトとは合わないため、堅苦しいイメージや冷たいイメージを感じさせる内装デザインは避けましょう。

 

産科・婦人科

産科・婦人科は、医師への相談内容が他の患者や医療スタッフに聞こえないように、プライバシーを確保した設計にする必要があります。 出産を控えた利用者を受け入れる有床診療所の場合は、利用者をベッドで安全に移動させられるように、病床の広さだけでなく、通路や入口の広さも十分に確保しましょう。

 

眼科

眼科は、眼の疾患の治療から、コンタクトレンズの処方まで、多様な診療メニューが存在します。将来的に診療メニューを新設したり、廃止したりする可能性を考慮し、柔軟性の高い設計にすることが大切です。

 

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科のクリニックには、感染症の疑いのある患者も多く来院します。一般的な衛生対策に加えて、感染症対策も考慮した設計にしましょう。

 

皮膚科

皮膚科は診療科の中でも、来院する患者数が多く、年齢層も幅広いという特徴があります。一度にたくさんの患者が来院するケースも想定されるため、待ち時間対策や、待合室から診察室への動線などを考慮しましょう。

 

精神科・心療内科

精神科・心療内科も、患者のプライバシー対策が求められる診療科です。患者の症状によっては、クリニックで暴れたり、パニックを起こしたりするケースも想定されます。不測の事態が起きても、他の患者や医療スタッフの安全を確保できるような設計が必要です。

 

動物病院

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動物病院の設計では、ペットが不安やストレスを感じないような内装デザインが必要です。またペットが院内で粗相をする可能性があるため、床材には防水性が高く、拭き取るだけで清掃できる素材を採用することが一般的です。床面の防滑性にも配慮し、ペットの足腰に負担がかからないようにしましょう。

 

≪まとめ:患者と医療スタッフの双方に配慮したクリニック設計を実現しよう≫

クリニック設計では、まず病院の規模や特徴を考慮することが重要です。その上で、患者の快適性とプライバシーを確保しつつ、医療スタッフの働きやすさを追求することが求められます。また、適切な設備配置や建築法規制の遵守も不可欠です。さらに、診療科別の特性を理解し、将来的な拡張や災害対策も考慮した設計が求められます。

このような設計を成功させるコツは、実績豊富な設計事務所の選定と、関係者との密なコミュニケーションです。以上の点に注意を払うことで、理想のクリニックを実現することができるでしょう。

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