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整骨院・鍼灸院の内装工事を検討するときのチェックポイント
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整骨院や鍼灸院を開業するとき気になるのが、内装をどのようなデザインにするかです。それによって店の雰囲気は大きく変わります。
では内装を考えるとき、どんな部分をチェックしなくてはいけないのかご存じでしょうか?今回は、整骨院や鍼灸院の内装工事を検討するときのチェックポイントをご紹介します。
内装工事を検討するときのチェックポイント
内装工事を考える際、チェックすべきポイントが3点あります。ここからは、チェックポイントをひとつずつ具体的にご紹介していきます。
構造設備基準に関して
構造設備基準とは、保健所や自治体が定めている構造設備の基準のことです。構造設備基準をすべて満たしていないと、内装工事以前に、開業できません。
構造設備基準の例は、以下の内容です。
・6.6平方メートル以上の施術専用の部屋を用意すること
・3.3平方メートル以上の待合室を用意すること
・常に室内を清潔にたもつこと
・施術に使う器具や手指を消毒するための設備を用意すること
・採光・照明・換気を充分に行うこと
・施術室の7分の1以上の面積を外気に開放すること
・住居や店舗の一部を使用する場合は、施術室が構造上独立していること
・免許所有者が2人以上いること
・無資格者による施術を防ぐため、施術者の人数よりあまりにも多いベッド数は用意しないこと
・ベッドを複数台並べる際には、個人のプライバシーの保護に配慮し、ベッドの間にパーテーションかカーテンを設置すること
上記は一例になり、記載したものより多く基準が定められています。保健所や都道府県によって構造設備基準は異なるので、具体的な内容は各自治体の公式サイトを確認してください。
レイアウトに関して
整骨院や鍼灸院は、院内の場所によって必要なものが違います。たとえば、整骨院や鍼灸院の受付は受付業務だけではなく、パソコンを使った事務作業も行います。
そのため、パソコンを置ける場所の確保や、コンセントの数や場所が重要になります。あらかじめ、どんな作業を行うか明瞭化したうえで、レイアウトを考えるとよいでしょう。
整骨院や鍼灸院は、お客様の大事な個人情報を管理しなくてはいけません。そのため、別のお客様から中が見えない作りにする必要があります。
また、施術室はどこにベッドを置けば施術者が動きやすいかなど、オペレーションもふまえて配置するとよいでしょう。効率的に作業できれば、多くのお客様を案内できます。
内装のデザインももちろん大事ですが、まずは作業のしやすさや効率を重視してのレイアウトがおすすめです。開業してから細かい置き場所などを考えると、時間がかかってしまうので、工事の前にある程度決めておくとよいでしょう。
デザインに関して
レイアウトを決めたら、次に内装のデザインを決めていきます。整骨院や鍼灸院のデザインとして重要視したいのは、お客様が安心して利用できる空間かどうかです。整骨院・鍼灸院は体の不調を治しにくる場所なので、リラックスできる空間にする必要があるでしょう。
安心できる空間を作るためには、まずお客様のターゲット層を決めます。たとえば、若い女性メインで施術するのであれば、可愛らしさと現代的な要素を取り入れた内装にするとよいでしょう。
ご高齢の方をターゲットにするのであれば、明るすぎる色の壁紙などは避け、落ち着いた雰囲気の色合いをメインにするのがおすすめです。
多くのお客様が親しみやすいと感じるのは、以下のようなデザインです。
・壁紙の色は暖色を使う
・室内に植物や花を飾る
・什器は角のあるものではなく、丸みをおびたものを選ぶ
・間接照明や暖かい色合いの照明を選ぶ
病院などでよく見る、白い壁紙に明るい照明という空間は、堅苦しさを感じさせます。整骨院や鍼灸院も病院の一種ではありますが、お客様がリラックスできるようにするため、病院のようなデザインは避けるようにしましょう。
整骨院・鍼灸院の内装におすすめの色
整骨院や鍼灸院の内装のカラーは、イメージを左右する大切な要素です。ここからは、カラー別にどのような印象になるのかお話ししていきます。
ホワイト
ホワイトカラーは、院内を広く見せる効果があります。また、清潔感があり、どんな客層でも好印象を与えることができるでしょう。
しかし、ホワイトは汚れが目立ちやすいのがデメリットです。子どもが多く通う整骨院や鍼灸院の場合は、汚れが付きやすい部分の壁紙はホワイト以外のものにするとよいでしょう。
オレンジ
オレンジ色は、院内を明るくポジティブな印象にできます。しかし、全面オレンジ色だと少し圧が強くなってしまうため、一部分に取り入れることをおすすめします。
たとえば、院の看板や待合室の椅子などをオレンジ色にすると、訪れた方が必ず見る部分なので、明るい印象を与えることができます。ポイントを絞ってオレンジ色を使うことで、よい印象を与えることができるでしょう。
ピンク
女性がメインターゲットの場合、ピンクを取り入れるとよいでしょう。温かみや、やさしさが感じられ、非常に通いやすい空間にできます。
ピンクを取り入れる際には、壁紙・ソファ・タオル・スリッパなどに使用すると印象が変わります。女性メインの場合は、女性誌を置いたりキッズスペースを用意したりすれば、より通いやすくなるでしょう。
ブルー
整骨院や鍼灸院でもっとも多く使われているのが、ブルーの内装です。ブルーは、清潔感がありリラックス効果もあるといわれています。そのため、整骨院や鍼灸院には非常に適した色なのです。
ブルーを取り入れる際には、制服やソファ、カーテンやタオルなどに使用するとよいでしょう。爽やかな印象を与え、どの世代にもよい印象を与えることができます。
グリーン
グリーンは、人に安心とリラックス効果をもたらします。内装のカラーをグリーンにしてもよいですし、院内に観葉植物を置いて、直接的に緑を取り入れるのもよいでしょう。
風水では、上に伸びていく植物は店をよい方向へ導くといわれています。また、丸い葉っぱの植物は、気持ちを落ち着かせる効果があります。
木目調
最近では、病院っぽさを少なくし、より通いやすいデザインにする整骨院や鍼灸院が増えています。ナチュラルな雰囲気を出すには、木目調のデザインを取り入れるのがおすすめです。
受付やフロアに木目調を使用すると、全体の雰囲気をナチュラルにできます。また、観葉植物を置いたり間接照明に変えたりすると、よりいっそう温かい印象にできるでしょう。
整骨院・鍼灸院の内装で大切な点
内装を決めるにあたって、施術者とお客様の両方の視点から考える必要があります。お客様本位になりすぎて、仕事がしにくい環境になってしまっては、もとも子もありません。ここからは、内装工事をするうえで大切な点をご紹介します。
開放感
整骨院や鍼灸院は、お客様がリラックスできる空間である必要があるため、開放感のあるレイアウトが求められます。
ベッドが敷き詰められていてほかのお客様との距離が近いと、緊張感や不快感を与えがちです。そのような心理状況だと、体の不調が悪化してしまうこともあるので、院内の開放感は非常に重要なポイントです。
具体的な注意ポイントは以下の内容です。
・機材や家具などは威圧感を与えないよう、背丈の低いものにする
・ベッドとベッドの間は壁で仕切ると圧迫感がでるため、カーテンで仕切るようにする
院内が広ければあまり気にする必要はありませんが、小さめのテナントの場合、開放感を感じさせるために工夫が必要です。お客様が心身ともにリラックスできる空間を目指しましょう。
受付スペース
受付スペースは受付業務だけでなく、事務作業を行うスペースでもあります。整骨院や鍼灸院は施術以外の事務業務が非常に多いので、受付スペースを仕事のしやすい空間にすることが大事です。
また、受付ではお客様の保険証のコピーを取ったり、施術内容の書いた書類を保管したりします。お客様の大事な個人情報を扱う場所でもあるので、ほかのお客様から中が見えにくい作りにする必要があるでしょう。
照明の明るさと光の指す方向
院内の照明ひとつで与える印象が変わるため、照明の明るさと、光の指す方向を大切にしましょう。
刺激を与えず、リラックスできる照明というと間接照明が適していますが、どの場所も間接照明にしてしまうと仕事がしにくく、全体的に暗くなりすぎる可能性があります。そのため、院内の場所によって照明を調節するとよいでしょう。
具体的には以下のような照明にするのがおすすめです。
・受付や作業スペースは、仕事がしやすいように明るい照明にする
・待合スペースは、暗すぎず明るすぎない照明を選ぶ
・施術室はリラックスできるよう、間接照明を置く
照明の種類を場所によって変えることで、院内のメリハリも生まれます。照明器具をおしゃれなものにすると、いっそう雰囲気がよくなるので、ひとつのインテリアとしてこだわってみてください。
書類や備品などの収納
患者さんのカルテは、最後に来院された日から5年間保管しなければいけない、という決まりがあります。書類は膨大な量になるため、保管する場所をしっかり確保しておかないと、重要書類の紛失にもつながってしまうでしょう。
そのため整骨院や鍼灸院では、書類や備品を収納する場所を多めに確保しなくてはいけません。内装工事をする際には、収納場所の確保を忘れないようにしましょう。
また書類とは別に、施術で使用するタオルやシーツなど、備品を保管しておく場所も必要となります。施術で使用するものは取りやすい場所にある方がよいので、施術室からの距離なども配慮して設置するとよいでしょう。
コンセントの配置
整骨院や鍼灸院は電気器具を多く使用するため、コンセントの配置が重要になってきます。施術室だけではなく、受付ではレジやパソコンでコンセントを必要とし、待合室ではテレビやウォーターサーバーなどでコンセントを使用するでしょう。
コンセントの場所が少なくても、延長コードを使用して遠い場所で使用することも可能ですが、院内に延長コードが張り巡らされているのは美しくありません。しかも、お客様が足をひっかけてしまうおそれもあります。
そのため、使用する機器の数に合わせて、使いやすい場所にコンセントを配置しましょう。使用する機器は、コンセントの近くに置くことをおすすめします。
段差の位置
前に使用していた物件をそのまま使用すると、院内に段差があることがあります。段差があると、自由に使える面積を減らしてしまうことになるので、あまりおすすめできません。
また、施術用の電気機器やベッドを置こうとしたが段差があって置けない、となるとその場所がデッドスペースになります。デッドスペースは室内の無駄遣いになるので、できる限り避けるべきです。居抜き物件をそのまま使用する場合は、段差がない物件を選びましょう。
内装工事の費用を安く抑えるコツ
内装工事をこだわるのは大事ですが、できるだけ出費は賢く抑えたいものです。ここからは、内装工事を安く抑えるコツをご紹介します。
居抜き物件を活用する
居抜き物件というのは、壁紙などの内装や、椅子・ソファ・施術器具に至るまで、必要な設備がすべて残っている状態で売却された物件のことです。
居抜き物件を購入すれば、いちから家具や機器を用意しなくてよく、初期費用を各段に抑えられます。また、内装工事をほとんど行わなくていいので、回転までスムーズに進めることが可能です。
居抜き物件で少し手を加えるとしても、100万円程度で行うことができます。一般的な物件であれば、最初に行う工事で600〜700万円程度かかるので、大幅に費用を抑えられるでしょう。
複数の業者から見積もりを取る
内装工事を行う業者を選定する際には、複数の業者から見積りを取りましょう。ひとつの業者のみで決めてしまうと、相場を知らずに依頼してしまうことになります。
複数業者の料金を比較すれば、よい部分と悪い部分が見えてきます。少し手間ではありますが、できるだけ多くの業者で見積りを取るとよいでしょう。
また、相見積もりをすると、他社の料金を提示して料金を安く交渉することも可能です。大きく値引きしてもらうのはむずかしいかもしれませんが、契約してほしい気持ちが強い業者であれば、多少は値引きをしてくれるでしょう。
まとめ
今回は、整骨院や鍼灸院の内装工事を検討するときのチェックポイントについて、お話ししていきました。内装に重要なのは、お客様が安心して利用できる空間であるか、施術者が仕事のしやすい空間であるかということです。
お客様と施術者どちらも快適に使用できるような雰囲気をつくれれば、多くのお客様に利用し続けてもらえるでしょう。また、内装はインテリアやメインカラーによって、大きく雰囲気が変わります。
よかれと思って取り入れたものでも、ターゲット層にはまっていなければ居心地の悪い空間になるおそれもあります。病院のイメージに直接つながるものなので、細部に至るまで手を抜かないようにしましょう。
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