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医院継承のトラブル事例7選!失敗しないための回避策と重要ポイント|テナント工房メディカル

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医院継承は新規開業に比べて初期費用を抑えられ、患者さんやスタッフを引き継げるという大きなメリットがあります。しかしその一方で、特有のトラブルに巻き込まれ、継承後に後悔するケースも少なくありません。

多くの医師が「もっと詳しく調べておけばよかった」と嘆く失敗には、実は共通するパターンがあります。

この記事では、医院継承における代表的なトラブル事例とその原因、そして失敗を防ぐための具体的な対策について解説します。

これから医院継承を検討している先生方が、リスクを回避し、理想的なスタートを切るための一助となれば幸いです。

 

 

医院継承で起こりやすいトラブル事例7選

医院継承で起こりやすいトラブル事例7選

医院継承において発生しやすいトラブルは、大きく分けると「人間関係」「金銭・設備」「契約・手続き」の3つに分類されます。

それぞれのカテゴリーで具体的にどのような問題が起きるのかを知っておくことは、リスクヘッジの第一歩です。

ここでは実際に多くの継承現場で見られる7つのトラブル事例を紹介します。

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トラブル1:前院長との信頼関係で通っていた患者が離れる

もっとも典型的なトラブルの一つが、院長交代をきっかけとした患者離れです。継承開業の最大のメリットは「最初から患者さんがいること」ですが、これは自動的に保証されるものではありません。

前院長の人柄や診療スタイルに信頼を寄せていた患者さんは、新しい院長に対して警戒心を抱くことがあります。

たとえば、前院長が時間をかけて話を聞くタイプだったのに対し、新院長が効率を重視して診療時間を短くしてしまうと、患者さんは「冷たくなった」「前の先生の方がよかった」と感じてしまいます。

また、診療方針や処方する薬を急に変更することも不信感を招く原因です。結果、継承直後から来院数が激減し、想定していた医業収益が得られなくなるケースがあります。

 

トラブル2:経営方針の変更によりスタッフが一斉退職する

患者さんだけでなく、スタッフとの関係構築も大きな課題です。既存のスタッフは医院の運営方法や前院長のやり方に慣れ親しんでいます。

そこに新しい院長がやってきて、いきなり業務フローやルールを刷新しようとすると、スタッフは強いストレスを感じます。

よくある事例として、新院長が挨拶もそこそこに厳しい指導を始めたり、給与体系や勤務時間を一方的に変更したりするケースがあります。これに反発したスタッフが集団で退職してしまうと、明日からの診療が回らなくなるという事態に陥りかねません。

スタッフの離職は、新たな採用コストがかかるだけでなく、地域での評判低下にもつながるため、経営にとって深刻なダメージとなります。

 

トラブル3:継承後に隠れた負債や未払金が判明する

金銭面でのトラブルとして怖いのが、帳簿に載っていない「簿外債務」の存在です。決算書(貸借対照表)には記載されていない借金や未払い金が、契約後に発覚することがあります。

具体的には、スタッフへの未払い残業代や退職金の積立不足、リース契約の残債、あるいは個人的な借入金などが該当します。

事前の簡易的なチェックだけでは見抜けないことが多く、継承後に債権者から支払いを求められて初めて気づくというケースも珍しくありません。予期せぬ債務を背負うことは、開業直後の資金繰りを圧迫し、経営破綻のリスクを高めます。

 

トラブル4:老朽化した医療機器の更新で多額の費用が必要になる

建物や医療機器をそのまま使えることは継承の利点ですが、それらが老朽化している場合は逆に大きな負担となります。

内見の際にはきれいに見えても、実際に使い始めてみると故障が頻発したり、配管や空調に不具合が見つかったりすることがあります。

たとえば、レントゲンや電子カルテのシステムが古すぎて現在の診療報酬改定に対応できず、結局すべて買い換える羽目になったという事例があります。また、建物の雨漏りや耐震性の問題が後から発覚し、高額な修繕費がかかることもあります。

譲渡価格にこれらの修繕コストが含まれていない場合、追加投資によって当初の事業計画が大きく狂うことになります。

 

トラブル5:保健所への届出遅延で診療開始が遅れる

トラブル5:保健所への届出遅延で診療開始が遅れる

医院継承には煩雑な行政手続きが伴いますが、手続きのミスや遅れが経営上の空白期間を生むことがあります。特に注意が必要なのが、厚生局への保険医療機関の指定申請です。

個人立の医院を継承する場合、譲渡側が厚生局に「保険医療機関廃止届」を出し、譲受側が保健所に「診療所開設届」を出した後、改めて厚生局に「保険医療機関指定申請」を行う必要があります。手続きのタイミングを誤ると、保険診療ができない期間が生じてしまいます。

いわゆる「保険診療の空白期間」です。保険医療機関の指定申請は通常、申請の翌月1日付けで指定を受けるため、申請から指定まで約1ヶ月かかります。この期間中は自由診療しか行えないため、事実上休診せざるを得ず、その間の家賃や人件費などの固定費はすべて赤字となってのしかかります。手続きのスケジュール管理は、経営のスタートダッシュに直結する重要な要素です。

参考:保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出

 

トラブル6:継承対価や条件の解釈相違でトラブルになる

売り手(前院長)と買い手(後継者)の間で、契約条件に対する認識が食い違っていると、最終段階でトラブルになります。

口頭で「この医療機器も譲ります」「在庫の薬品も自由に使ってください」と約束していても、契約書に明記されていなければ言った言わないの水掛け論になりかねません。

よくあるのが、譲渡対象となる資産の範囲や、引き継ぎ期間中の前院長の処遇(給与や勤務頻度)、競業避止義務(近くで別のクリニックを開業しないこと)についての認識のズレです。

契約締結直前になって条件が覆ったり、譲渡後に「話が違う」と揉めたりすることは、お互いの信頼関係を損なうだけでなく、法的な紛争に発展する可能性もあります。

 

トラブル7:前院長の健康問題で継承計画が突然中止になる

交渉中に前院長の体調が急変し、継承の話自体が立ち消えになるケースもあります。医院継承を検討する売り手側の院長は高齢であることが多く、健康問題を抱えていることも少なくありません。

交渉が長引いている間に院長が入院してしまったり、最悪の場合は急逝されたりすると、意思決定ができなくなります。

相続が発生すると、相続人の間で遺産分割協議が必要となり、医院の譲渡どころではなくなってしまうのです。また、院長不在の期間が長引けば患者離れが進み、医院としての価値(のれん代)が大きく毀損することにもなります。

 

医院継承でトラブルが起きる原因

トラブルは、決して運が悪かったから起きるわけではありません。

多くの場合、準備不足やプロセス上の欠陥に原因があります。なぜ失敗してしまうのか、根本的な原因を理解しておくことで、トラブルを未然に防げます。

ここでは主な3つの原因について深掘りします。

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財務状況や患者動向の調査を怠る

財務状況や患者動向の調査を怠る

トラブルの最大の原因は、継承する医院に対する調査(デューデリジェンス)が不十分であることです。

財務状況や設備の稼働状況、患者数や診療単価の推移、スタッフの雇用条件などを詳細に確認せずに、「儲かっていそうだから」「立地が良いから」という印象だけで判断してしまうと、隠れたリスクを見落とします。

調査不足の項目

発生するリスク

財務状況(簿外債務など)

予期せぬ借金や支払いの発生

設備・建物の状態

故障や修繕による追加コスト

スタッフの労働環境

労務トラブルや大量離職

患者属性と診療内容

新院長のスキルとのミスマッチ

 

調査すべき項目は多岐にわたります。これらを数字やデータだけでなく、実地で見聞きして確認する手間を惜しむと、後で高い代償を払うことになります。

 

関係者との意思疎通を怠る

売り手と買い手、そしてスタッフや患者さんとのコミュニケーション不足も大きな要因です。

売り手と買い手の間では、お互いに遠慮して踏み込んだ条件確認を避けてしまったり、都合の悪い情報を隠したりすることがあります。

また、スタッフに対して事前の説明や相談がないまま話を進めると、不信感を招きます。患者さんに対しても、十分な告知期間を設けずに突然院長交代を発表すれば、混乱を招くのは当然です。

関係者全員が納得して新しい体制に移行できるよう、丁寧な対話と情報共有が不可欠ですが、これを軽視して「契約さえすれば何とかなる」と考えると失敗します。

 

専門家を活用せず自己判断で進める

医院継承は医療の知識だけでなく、法務、税務、労務、不動産など幅広い専門知識を要する取引です。

これを医師同士の個人間取引や、知人の紹介だけで済ませようとすると、法的な不備や税務上のミスが発生しやすくなります。

たとえば、営業権(のれん代)の算出根拠が適正かどうか、契約書に不利な条項が含まれていないか、行政手続きのスケジュールは正しいかなどを判断するには、専門的な知見が必要です。コストを惜しんで専門家を入れずに進めた結果、契約内容の不備を突かれて損害を被るケースも存在します。

 

医院継承のトラブルを回避するための対策

トラブルの原因がわかれば、それに対する適切な対策を打つことができます。医院継承を成功させ、安心して診療に専念できる環境を作るためには、具体的なアクションプランが必要です。

ここでは、必ず実施すべき4つの対策を紹介します。

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デューデリジェンスを徹底する

デューデリジェンス(買収監査)とは、投資対象となる医院の価値やリスクを詳細に調査・分析することです。財務、税務、法務、人事労務、ビジネス(診療圏や患者動向)など、あらゆる側面から調査が必要です。

財務面では、過去3期分の決算書や確定申告書を精査し、収益性や負債の実態を確認します。

法務面では、賃貸借契約書やリース契約書の内容をチェックします。人事面では、雇用契約書や就業規則、残業代の支払い状況を確認します。

自分一人ですべてを行うのは難しいため、医療経営に詳しい税理士や会計士、弁護士などの専門家に依頼し、客観的なレポートを作成してもらうのをおすすめします。

この調査結果をもとに、譲渡価格が妥当かどうかを判断し、リスクがある場合は価格交渉や条件変更を行いましょう。

 

契約書に詳細を明記する

契約書に詳細を明記する

最終的に締結する「事業譲渡契約書」は、自分の身を守るためのもっとも重要な盾となります。口約束ではなく、合意した事項はすべて文書化し、契約書に盛り込むことが鉄則です。

契約書には、譲渡対象資産の明細(リスト化)、譲渡価格とその支払い方法、引き渡し日、従業員の引き継ぎ条件、表明保証(売り手が開示した情報に嘘がないことを保証する条項)、契約解除条件、損害賠償などを詳細に記載します。

特に、後から簿外債務が発覚した場合に売り手が責任を負うことや、一定期間は前院長が診療をサポートすることなどを明記しておくと安心です。契約書の作成やリーガルチェックは、必ず医療法務に強い弁護士に依頼しましょう。

 

専門家のアドバイスを仰ぐ

医院継承は一大プロジェクトであり、医師一人の力で完遂するのは困難です。早い段階から、M&Aアドバイザー、税理士、弁護士、社会保険労務士といった専門家チームを組成し、助言を仰ぐことが成功への近道です。

M&A仲介会社やコンサルタントは、案件の紹介から条件交渉の代行、スケジュール管理までをサポートしてくれます。

税理士は税務リスクのチェックや資金調達の計画立案を、社労士はスタッフの雇用契約の巻き直しや労務環境の整備を支援してくれます。彼らの報酬はかかりますが、トラブルによって発生する損害や精神的ストレスに比べれば、必要な投資といえます。

信頼できるパートナーを見つけ、二人三脚で進めることが重要です。

 

引き継ぎ期間を十分に設ける

患者さんやスタッフとの信頼関係を維持するためには、十分な引き継ぎ期間(オーバーラップ期間)を設けることが効果的です。

いきなり院長が交代するのではなく、数ヶ月から半年程度は前院長と新院長が一緒に診療を行う期間を作ります。

この期間中に、前院長から患者さんに新院長を紹介してもらい、「今度からこの先生にお願いしているから大丈夫だよ」とお墨付きをもらうことで、患者さんの不安は大きく解消されます。

また、スタッフとも一緒に働きながらコミュニケーションをとり、業務の流れや前院長のこだわりを徐々に理解していくことができます。焦って短期間で済ませようとせず、ソフトランディングを目指す計画を立てましょう。

 

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 1.医院継承には、患者離れやスタッフの離職、簿外債務の発覚など、経営を揺るがす深刻なトラブルリスクが存在する。
  • 2.トラブルの主な原因は、事前の調査(デューデリジェンス)不足、関係者とのコミュニケーション欠如、そして専門知識なしでの契約進行にある。
  • 3.失敗を防ぐためには、専門家の協力を得て詳細な監査を行い、契約書でリスクを管理しつつ、丁寧な引き継ぎ期間を設けることが不可欠。

 

医院継承は多くのメリットがある魅力的な開業形態ですが、それは適切なリスク管理ができて初めて享受できるものです。

慎重な準備と誠実な対応こそが、地域医療を担う新たな院長としての第一歩を成功へと導きます。

 

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